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ARFLEXイメージ
―― 有名な定番商品MARENCOやA・SOFAのカバーリングは、そんなモノづくりの精神を反映したものでしょうか?
保科氏: MARENCOのカバーリング(ソファの張り地を取り替えられる)発想は、イタリア本国ではなく、我々ARFLEX JAPANが1971年に世界に先駆けて考案・実現したものです。その約5年後にイタリアでアイディアが取り入れられ、いまやイタリアのソファのほとんどがカバーリングになってしまった。やはりオーソドクスなデザインのA・SOFAの場合でも、クッションの中身をケアし、5年〜10年ごとにカバーリングの交換を行えば、常に最適なコンディションでお使いいただける。ですから、「A・SOFAの上で成長されたお子さんが結婚されることになり、カバーを全部新しくして嫁入り道具として持たせてやりたい」というような逸話がすごく多くなりました。こうした話などは、家具屋冥利に尽きますね。これからの時代はメンテナンスケアというものが重要だと考えています。我々は原反で約150種類ほどの張り地の布や革を在庫として持っています。売れ筋の素材の場合、5年以内は廃版になりませんが、5年を超えると生地/素材メーカーさんの都合上、どうしても廃版が増えていきます。だから、お客様に長年ご愛用していただくためには張り地の在庫を持つことが不可欠なのです。
―― ARFLEXは100%受注生産。言ってみれば、ビスポーク。そんなブランドを仕切る保科さんが、ビスポーク・ウエアをつくられることになったきっかけは?
保科氏: そもそも私は洋服が大嫌い。ぜんぜん興味がなかった。それはVAN JACKETにいたときからです。男がお洒落をすることにすごく抵抗がありました。それに、洋服を注文してから待つという時間がすごく嫌で、自ずと吊しを買うことになるわけです。そういう時代がしばらく続いたのですが、ある時、中寺さんと知り合いになってからは洋服に対する考え方が変わりました。自分の会社で受注生産をしておきながら、ビスポークというものの良さを改めて感じました。洋服だけが前面に出て主張する「いわゆるお洒落」とは違うものだからです。そもそも我々の業界はビシッとしたスーツで会合に行く方は少ない。扱っている商品を考えると、コットン素材のジャケットの方が合うのかもしれません。しかし最近は、業界の会合等があるときでも、あえてスーツやジャケット&パンツを着ていくことが多い。引き締まるというか、自分の仕事に対する姿勢を正すような気持ちになる。お洒落というのではなく、自分自身が奮い立つ感じというのでしょうか。
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