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Special Interviews
―― やはり英国にこだわる理由は?
中川氏: 華美な感じはまったくない。背伸びもしないし、格好付けもしない。コツコツ寡黙に。『日の名残』というカズオ・イシグロの有名な著作(英国最高の文学賞ブッカー賞を受賞)がありますが、英国の執事の話で自分の仕事をまっとうするという内容です。この本を読んでみて、英国人のモノの作り方や考え方が見えた気がしました。たとえば、英国発のモード・ブランドって少ないですよね。やはり、そのジャンルはまぁイタリアということになる。英国製はというと、華美ではないけれど作り手が自分の仕事にプライドを持っていて、しっかりまじめに作っているものばかりです。だから3年〜5年が経過して良くなるモノが多い。英国製の靴がまさにそうです。購入した日がもっともダサくて、5年後・10年後に良くなる。着古してきて良い味になる英国式のスーツと似ているかもしれません。
お金がない若い時分は、ほしいモノがたくさんありました。ところが今、目が肥えたわけではないですが、街を歩いていても何もほしいと思わない。たまにbatakでスーツを仕立てるくらいですか(笑)。でも、時々琴線に触れるものがあって近寄っていくと、なぜか英国製だったりするわけです。この間も、素晴らしいデッドストックの英国製コートを見つけましたし、靴は英国に出かける度に老舗製靴店の貴重なデッドストックを買い集めてはコレクションしています。趣味のバイクも、英国製'68年型のトライアンフのオーナーですし・・・。ただ、同好の士がいないもので、一人で富士山にツーリングに出かけたりしていますが・・・。
なんか、そんなお話をすると英国製でバリバリにキメているみたいに見えますけど、プライベートは毎日仕事を終えて深夜帰宅すると、ダース買いしてあるバーボンの「Four Roses」を1週間で1本のペースで飲み干すような、仕事以外はけっこう自堕落な生活ぶりで、必ずしも洒落たバーでシングルモルトをというわけではありません。何しろ、靴修理屋のオヤジですから(笑)。
UNION WORKS
中川一康氏/株式会社 UNION WORKS代表取締役。1965年生まれ。大学を卒業後、様々な仕事を経て、25歳でシュー・レストアの仕事と出会う。29歳の時に独立後、シュー・レストア(リペア)を請け負う「UNION WORKS」を起業。青山や渋谷など直営店舗を3店舗構え、英国製の靴をメインに、女性靴、アメリカンワークブーツなどのレストア(リペア)を行う。また、有名シューズ・ブランドやセレクト・ショップのシュー・レストア(リペア)を請け負うファクトリー業務も並行して行っている。
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