batak WEB MAGAZINE
Top Features/Tribute to Suits Special Interviews Lifestyle Column Tailored Talk About batak
Special Interviews
僕らの仕事で大切なことは、お客様の靴に対するリスペクトと対話なんです。
―― シュー・レストア(リペア)のビジネスをはじめたきっかけは?
中川氏: 大学を卒業しても定職に就かず、僕は20代をいわゆるフリーターという状態で過ごしました。職を転々としていたそんな時期に、ひょんなことから靴の修理屋で働くことになったわけですが、この仕事だけはなぜか相性が良かった。当時はそんなに格好いい職業ではなかったし、世間体や体裁を考えると嫌で嫌でしょうがなかったけれど、仕事の内容自体は壊れたものをバラして組み上げていくという作業で、なかなかおもしろかったんです。だから、続いたのかもしれませんね。ただ、本当におもしろいと自分で認識できるようになったのは独立してからです。
たった一人の工房という形態で起業しましたので、これまでの靴とだけ向き合う孤独な作業に、「接客」というプロセスが入ってきたわけです。お客様と直接対面して、応談しながらシュー・レストア(リペア)の内容を決めてく。ビスポークもそうかもしれませんが、職人にとって対面作業って意外と楽しいんです。お客様と対面してその方の想いや期待を背負うというのは・・・。数日後、作業を済ませて完成品をお客様にお渡しする段になると、満面の笑みを浮かべ仕上がりにものすごく感動されて帰っていかれる。この瞬間に、僕自身けっこう感動しまして、それまでのプー太郎が初めて社会とつながったような気がしたものですから、この仕事を自分の生涯のビジネスにしようと決意したわけです。それから、寝食も忘れる勢いで働いて約14年。直営店を東京と神奈川に合わせて3店舗、シュー・レストア工場を川崎に設け、現在、シュー・レストアラーと店頭スタッフを合わせて17名の所帯でこのビジネスをまわしています。
中川 一康氏
PAGE1 PAGE2 PAGE3
© 2011 Nobel Note all rights reserved. batak Bespoke Tailor
INDEX