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Special Interviews
―― ビジネスが成功しても事業の拡大を抑制しているとなるとお金の使い道は?
佐々木氏: いやいや、日本の国税庁は甘くありません。査察が入りました。一年間くらい尾行されて「佐々木さん、私たちは全部知っていますよ、あなたのことを」とくる。日本の国税庁というのは、すべての証拠を掌握した上で査察に入ります。そうこうしているうちに、数年後、今度はアメリカで査察が入った。IRS(The Internal Revenue Service)です。アメリカは、日本のように証拠を整えて家宅捜査をするわけではありません。証拠書類を当事者に出させる。それも次々と。調べないで来るんですね、IRSは。日本とは逆です。書類を出させて、ここが納税違反だ、と指摘する。
その後アメリカでの査察が終わって3年目に、日本で2回目の査察が入った。そのときは頭髪が真っ白になっちゃった。昔は真っ黒だったんですよ。忘れもしない42歳の厄年のとき。精神的にもかなり参りました。しかし、僕のお袋が言いました。「盗人泥棒して儲けた金じゃない。マジメに事業をして儲けた金で、それは何かの行き違いか見解の相違で持っていかれるんだから」って。93歳まで長生きした、とても素敵でチャーミングなお袋でした。
今は、税金に対しては非常に精緻にやっています。脱税なんかするよりもマジメに税金払った方がいい。だから、今、僕なんか優良納税者ですよ。あそこに賞状が飾ってありますが、税務署から優良納税者として表彰されています(笑)。
―― そんな、佐々木さんは、筋金入りのお洒落とお見受けできます。
佐々木氏: 会社が潰れそうなときも、税金で苦労しているときも、お洒落をすることだけは忘れませんでした。昔、自由が丘にある「白樺」とか、名前は忘れましたけど田園調布にいいブティックがあったんです。いくつかの洒落た店には、すごくいい背広が1着だけ、マネキンに着せてショーウィンドーに飾ってある。お金がなかった頃は、背広が買えないので、そんな素敵なお店でネクタイを1本買っても嬉しかった。チョッキを1枚買っても楽しかった。貧乏時代のお洒落というのも、またそれなりにあるんです。御徒町に行っては、アメリカ製の背広、シカゴの「コービン」と言ったかな、アメリカの既製服メーカーがあって進駐軍の放出品で流れてくる。アメ横の店で買いましたよ。寒くてもお金がないからオーヴァーコートまで買うことはできない。だから、妹のマフラーを借りてね、アメリカ製の背広だけを着て歩く。何とも言えず華やいだ気分になったものです。そういうお洒落は、若い頃から欠かしたことはない。
5〜6年前までは、ニューヨークでもテーラーを3人くらい抱えていました。足下見られていたのか、あちらのテーラーは異常に高い(笑)。ニューヨークでつき合った最後のテーラーはいまでも「サックスフィフス」の3階か4階のいちばんいい場所で営業しています。
Kanpai of Tokyo
Kanpai of Tokyo
佐々木氏が経営する「カンパイ・オブ・トウキョウ」の店内。調理パフォーマンスを見せながら供する、天板焼きや寿司などがアメリカ人に大人気。
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