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そうではないと憧れたものを超えて、僕だけものにはないらない。たとえば、ジャン・コクトーやセシル・ビートンの服装は、まったく時代を感じさせませんが、決してそれをそのまま真似るわけではありません。僕も僕なりの体型で時代を超えられるようなものをあつらえて、その中で自分らしさをどう打ち出していくかということにこだわりたいですね。英国調であるとか、イタリア風スーツであるというのではなく、それが自分の身体が持つ黄金比を活かした美しさだと思っています。同時に、僕は日本人で、日本人が西洋の服を着ているわけですから、どこかに日本的な美を組み込まないとアドバンテージが獲れない。日本人が持っている美意識、美的感覚というものをオリジナリティとして組み入れていった方が、さらに日本人として綺麗な服ができるのではないかと考えています。
―― メンズ・ウエアにおいて普遍性を持つものは、「古い」という一言で片づけられやすい傾向にありませんか?
ソリマチ氏: 懐古するつもりは毛頭ありませんが、文化という部分だけを見ると20世紀のヴィンテージ・エイジに戻っていくべきではないでしょうか。そうしないとダメになっていく気がします。それは当時の方がいまだに次元が高いから仕方がない。21世紀の今は、情報の流通についてはものすごく進んでいますが、逆にパソコンやケータイの普及で漢字を忘れてしまうケースのように、レベルが下がってしまっている部分がたくさんある。だいたいアイディアなんて昔の人が必ずどこかで考えてしまっている。ですから、過去のものを継続していかなければならないし、伝えなければならないものが実はたくさんありますね。古いことをやっているのではない、という意識で僕らも自信を持たなければダメです。日本には四季があったり、季節感を大事にしたり、服装でそういう風情を表現してきました。生活の中にそういう楽しみ方があり、ごく普通にそれをやっていて、当然ハレとケというものがちゃんとあった。伝えていかなければいけないことだと思います。どこへ行くにもビーチに行くような格好で、街中を歩いている。Tシャツに短パンがどこでも通用してしまている。余裕がないからそういうことになってしまったのでしょうか。街路樹が紅葉してきたら、街の色合いに合わせたツイードの上着を着てみるって楽しくありませんか。戦前の日本には、そういう風情とファッションを楽しむ大人がいたはずなのですがね。
ソリマチ氏イラスト
Illustrated By AKIRA SORIMACHI
ソリマチアキラ氏/イラストレーター&アーティスト。東京生まれ。
東京イラストレーターズ・ソサエティに所属。ファッション、JAZZ、酒などのジャンルを通じて書籍、雑誌、広告の分野で活躍。
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