batak WEB MAGAZINE
Top Features/Tribute to Suits Special Interviews Lifestyle Column Tailored Talk About batak
Special Interviews
―― では野尻さんは、どんなところでコーディネイトの遊びを?
野尻氏: 靴ですね。いまのbatakで誂えているスーツには靴で変化をつけています。つまり、靴で遊ぶ。今日はオーディナリーなスーツにわざとカジュアルなオールデンのタッセルを履いているんです。普通ならば黒いエドワード・グリーンのオクスフォード(内羽根)・シューズを履けばそれなりに洗練されて見えるでしょう。プレーントゥを履けば品のいいオジサンみたいになる。オールデンのタッセルを履けばお洒落に飽きたみたいな感じが何となく醸し出される。そういう遊び方は好きですね。これからも、コーディネイトに変化を持たせるこうしたアイディアを楽しんでいきたいですね。
―― 今後、どんなビスポークを計画中ですか?
野尻氏: いま考えているのは、ジャケットがあります。昔、パリで買った黒いメタルのボタンがあって、それを使ったジャケットをイメージしています。本当に真っ黒なボタン。まだ、明確なイメージが描き上げられていないのですが、フォーマルにもカジュアルにも着ることができるジャケットです。
昔は、ウィンザー公の着衣やローレンス・フェローズのイラストレーションを参考に仕立てたこともありました。また、サビル・ロウのテーラーであるアンダーソン&シェパードやヘンリープールなどで仕立てられたスーツの古着をもとに何着かオーダーしたことがあります。ただし、ロンドンで服をつくったことは一度もありません。「大佛茶廊」をオープンしてからは鎌倉でシャンパーニュをサーブしている日々の連続で海外旅行すら行けませんから、海外のテーラーで服をつくることは難しい。けれども、中寺さんのような職人の技量だけでなく、スチリストとしての力量を持つテーラーが日本でも増えてきたおかげで、海外でオーダーするよりももっとイメージ通りで、いい仕立ての洋服を手に入れることができるようになったのではないか、と考えています。
これまで中寺さんとやり取りしながら、現在のスタイルへと昇華させてきたことにはある種の満足を覚えます。と同時に、自分も美意識や感性のレベルが上がってきているという喜びもある。ビスポークというのはそういうおもしろさがありますね(笑)。
大佛茶廊
野尻芳英氏/「大佛茶廊」オーナー、コピーライター。広告業界で活躍後、鎌倉に「大佛茶廊」をオープン。茶廊はかつて、「パリ燃ゆ」や「帰郷」で有名な作家・大佛次郎の別邸であった。野尻氏はその大佛次郎のお孫さんにあたる。batakでは最古参の顧客のひとり。広告業界だけでなく服飾業界にも幅広い人脈を持ち、メンズ・ウエアに関するご意見番として原稿執筆などの仕事もこなしている。

大佛茶廊
営業時間 土日祝日 正午前より日没まで
鎌倉市雪ノ下1-11-22
0467-22-8175(土日祝日専用)
http://www.1938.jp/osaragi/
PAGE1 PAGE2 PAGE3
© 2011 Nobel Note all rights reserved. batak Bespoke Tailor
INDEX